富士山登山に向けて、移動中の階段という階段をのぼりまくっていたら、さすがに昨日14階分の階段をのぼっている途中、右腿に違和感が生じ、さらに今日は某音楽グループのアーティスト写真撮影のために上野公園で全力疾走を数本やったため、左の臀部筋に違和感。

 本番まで階段はやめることにしたが、しかし、都市において階段はけもの道であり、なおかつひとつの“山岳”であることを発見した俺なのであった。
 特にどんなビルの階段でも、のぼっていると誰かしらに会う。ひっそりとのぼりおりしている人種がいるのである。そのとき、会った者同士は少し恥ずかしげに、だがあたかも山で遭遇した相手にするように軽く会釈などする。

 ビル(または駅)階段=都市山岳。

 そこで俺はここに「都市山岳部」の設立を宣言する。


 いい階段があったらどんどん推薦して欲しいのである。
 別に苦難が必要なわけではないから、何階から何階が素晴らしいという限定でもいい。

 南アルプスがあるなら、南東京階段山脈があっていいと俺は本気で思っている。
 そして、俺はそのような美しい密閉空間で“登山”(ないし、“登段”)したい。

 ホスーKを付けた上で、今度は腿上げ運動に転ずる。歩数+高度、それが都市登山だ!


 色々と体力を消耗しているわけだが、意気軒高。
 気持ちだけでなんとかなっている。

 明日は休もう(小説を書く以外は)。



 さて、最近の本では『新しいアナキズムの系譜学』(河出書房新社・高祖岩三郎)が抜群に刺激的だ。

 『PLANTED』にも二回登場していただいた高祖さんは本著の中で、特にアメリカのアナキストたちの歴史を真に自由な、つまり金科玉条のごとき論理で自己を束縛しない社会変革運動の鉱脈としてとらえ直し、未来に達成すべきゴールのために現在を犠牲にするのではなく、現に今、この今ごとにすでに闘争が実っている永遠のプロセスとしてのアナキズムを、否定すべからざるロマンティシズムで再発見していく。

 中には、ラップの始祖である「ラストポエッツ」も、アフロアメリカンの対抗運動として当然「ブラック・パンサー」も出てくる。
 そうした多様な「徒党」が連帯することを、高祖岩三郎は呼びかける。
 こういうアナキズムの著作がかつてあったか。

 ヒップホップの地下鉱脈にどのような思想が流れているのか/流れているべきか。
 そういう興味だけでも、本著は読まれていい。