昨日は、まず初台のICCに行って、銅金(裕司)さん、藤幡正樹さん(20年ぐらいぶりの再会!)と『サイレント・ダイアローグ』について鼎談。
バイオ科学とアートの関係について刺激的な話がばんばん出る中、銅金さんの「きれいな声で鳴く鳥ほど盲目率が高くなる」というデータにド肝をぬかれる。
病弱者なので「これから歯医者です」と途中退場し、実際歯医者に行ってから有楽町・国際フォーラムへ。
もちろん、おん年80才の偉大なるポップスメーカー、バート・バカラック大先生のコンサートを聴きに。
バカラック大先生のピアノが生で聴けるなんて、夢のようであった。
少し喉をいためていらっしゃる大先生が、高音をさけてフェイクするうまさも貫録。
帰りの電車では、その日読み始めた中沢新一『イカの哲学』読み終える。
イカの大量捕獲は原爆投下に等しいと考えた波田野一郎を引用しての平和論。
戦争を超えた超戦争の時代(すなわち、石原莞爾が思考した最終戦争後の世界と言っていいだろう)、人間対人間だけでなく、人間対生命すべてを対象にした、エコロジーともつながる「超平和」が希求されねばならない、と中沢さんはいう。
そして、その「超平和」が日本国憲法第九条にこそあらわれているのだという強い論旨。
俺的にいえば、「悪の衝動があるならば、善の衝動もなければならない」というに等しい。
素晴らしい本だと思った。
一部では早くも略して『イカ哲』と呼ばれている。
さて、『ヤンポ計プロジェクトから悲しい報告』
そんな一日を過ごし、最終的には浅草で一番好きな焼き肉屋で食事をして帰った気分上々の俺は……なんとMPK(万歩計)がナスカンから外れてなくなっていることに気づいたのである。
確かに丸カンのジョイントが以前から弱かったのだ。
グッチの靴べらに嫉妬して、MPKが家出を企てたのであろうか。
それとも、誰かがたまらずスリ行為をしたのであろうか。
とにかくない。
絶望に打ちひしがれる俺を見て、妻が言った。
「落ち込むにはまだ早いよ。明日、わかる限りのところに電話して探してみるから」
ありがとう、同志よ。
俺はぐーぐーに眠った。
そして、今日の朝。
隣の部屋から妻の声が聞こえてきた。国際フォーラムにかけているらしい。
「はい、はい、特徴……ですか……スワロフスキーの……はい、ラインストーンを貼ってあります。はい? いえ、びっしり………………あ、あのー、万歩計です。タニタです」
俺は身が縮む思いであった。
と同時に吹き出しそうにもなった。
相手はどんな気持ちで聞いているのだろうか。
残念ながら国際フォーラムからは数時間たった今でも連絡がこない。
俺が熱狂した初代のTANITA FB-721……。
デコったあの日を忘れないよ、愛するMPK……。
出来上がってゆく素敵なMPKが脳裏に浮かぶぜ……。
腰に下げるとキラリとお前は光ったよな。
そして、つい前日、お前はグッチで着飾ってたのさ、ベイビー。
すべては幻。
俺はまた最初から、TANITA FB-721の世界をさまようだろう。
グッバイ、初代。
たぶん俺、バート・バカラックにMPKを捧げたんだ。
バイオ科学とアートの関係について刺激的な話がばんばん出る中、銅金さんの「きれいな声で鳴く鳥ほど盲目率が高くなる」というデータにド肝をぬかれる。
病弱者なので「これから歯医者です」と途中退場し、実際歯医者に行ってから有楽町・国際フォーラムへ。
もちろん、おん年80才の偉大なるポップスメーカー、バート・バカラック大先生のコンサートを聴きに。
バカラック大先生のピアノが生で聴けるなんて、夢のようであった。
少し喉をいためていらっしゃる大先生が、高音をさけてフェイクするうまさも貫録。
帰りの電車では、その日読み始めた中沢新一『イカの哲学』読み終える。
イカの大量捕獲は原爆投下に等しいと考えた波田野一郎を引用しての平和論。
戦争を超えた超戦争の時代(すなわち、石原莞爾が思考した最終戦争後の世界と言っていいだろう)、人間対人間だけでなく、人間対生命すべてを対象にした、エコロジーともつながる「超平和」が希求されねばならない、と中沢さんはいう。
そして、その「超平和」が日本国憲法第九条にこそあらわれているのだという強い論旨。
俺的にいえば、「悪の衝動があるならば、善の衝動もなければならない」というに等しい。
素晴らしい本だと思った。
一部では早くも略して『イカ哲』と呼ばれている。
さて、『ヤンポ計プロジェクトから悲しい報告』
そんな一日を過ごし、最終的には浅草で一番好きな焼き肉屋で食事をして帰った気分上々の俺は……なんとMPK(万歩計)がナスカンから外れてなくなっていることに気づいたのである。
確かに丸カンのジョイントが以前から弱かったのだ。
グッチの靴べらに嫉妬して、MPKが家出を企てたのであろうか。
それとも、誰かがたまらずスリ行為をしたのであろうか。
とにかくない。
絶望に打ちひしがれる俺を見て、妻が言った。
「落ち込むにはまだ早いよ。明日、わかる限りのところに電話して探してみるから」
ありがとう、同志よ。
俺はぐーぐーに眠った。
そして、今日の朝。
隣の部屋から妻の声が聞こえてきた。国際フォーラムにかけているらしい。
「はい、はい、特徴……ですか……スワロフスキーの……はい、ラインストーンを貼ってあります。はい? いえ、びっしり………………あ、あのー、万歩計です。タニタです」
俺は身が縮む思いであった。
と同時に吹き出しそうにもなった。
相手はどんな気持ちで聞いているのだろうか。
残念ながら国際フォーラムからは数時間たった今でも連絡がこない。
俺が熱狂した初代のTANITA FB-721……。
デコったあの日を忘れないよ、愛するMPK……。
出来上がってゆく素敵なMPKが脳裏に浮かぶぜ……。
腰に下げるとキラリとお前は光ったよな。
そして、つい前日、お前はグッチで着飾ってたのさ、ベイビー。
すべては幻。
俺はまた最初から、TANITA FB-721の世界をさまようだろう。
グッバイ、初代。
たぶん俺、バート・バカラックにMPKを捧げたんだ。