一年ほど前、さかんに着けて歩いていた万歩計がいったん壊れ、いわば万歩熱というべきものが下がったのだが、ここにきてさらなるスケールで俺の中に万歩計のムーブメントがよみがえってきている。

 そもそもは一ヶ月前、勝俣(州和)くん、「くりぃむなんとか」でもおなじみのSプロデューサー、俺の『職人ワザ!』にも載っているFさん(スイッチャー)、テレ朝技術界の大師匠Sさんといったメンバーで飯を食っていると、大師匠が「俺も来年還暦なんですがね。動けなくなる前にどうしても富士山に登りたい」と言い出したのであった。
 Sプロデューサーはすぐさま「かっちゃんが登るなら番組にするから、師匠はそれを撮ってください」みたいなことを答える。
 すると、勝俣くんが「せいこうさんが登るなら、俺も登る」とかいう悪だくみを仕掛けてきて、つまりは俺も富士山に登らざるを得なくなった。
 大師匠がテレビカメラをかついで登る以上、俺が登らないわけにいかないわけで、実に困ったことになったのである。

 その翌日には、万歩計を買い直していた。
 とにかく、富士山登頂(それも勝俣くんペースで、なんと深夜から一気に登りきるというのだ。山小屋で一泊もせずに!)をするには、足腰を鍛えておかないといけない。
 
 で、一度買ってつけると、俺はすぐに万歩熱におかされた。
 歩くことが楽しくて仕方がない。
 歩数をかせぐためなら、どんな悪い寄り道でもしたくなる。
 昔と同じ万歩計への熱中に、俺はおかされたのであった。 

 そのうち、万歩計の有り得べき未来を考察するようになっていた。
 ひとつは、年寄り臭くない(と同時に現在のファンシー系とも違う)メタリックな万歩計が出来て、無線ランによって当然パソコンにデータが送られる。パソコン上では翌日歩くべき歩数を計算して万歩計に指示を送る。そういう未来である。
 まあ、当たり前といえば当たり前の万歩計のプロデュース案だろう。

 だが、俺が思いついて興奮したのは、次のもうひとつの未来で、それはつまり今のままのダサい万歩計(おおむね2000円)を、ウォレットチェーン着装やスワロフスキーでデコる行為などによって、完璧にカスタマイズしていく方向なのであった。


「ヤングな万歩計」、略して「ヤン歩計」の誕生である。


 俺はこのところ、あちこちでこの「ヤン歩計」構想を話している。
 思いの外、反応が大きい。
 だが、ほとんどの話が前者のかっこいい万歩計プロデュースの方になる。
 うちの企業で作ります、と言い出す人もいた。
 それはそれでいい。俺も協力は惜しまないつもりだ。

 しかし、問題は真の「ヤン歩計」の方である。


 実はおととい、クロムハーツを見てきた。

 万歩計に合う(というか、なるべく合わない)ウォレットチェーンを探しにいったのだ。
 ものすごく悪い事をしに行ってる気がして、店員さんに話しかけられても俺は終始無言だった。
 うーん、いくらなんでもちょっと重過ぎ。そして高過ぎた。
 2000円の万歩計に20万円のチェーンはいけない。
 せめて5万円台だろうと俺は踏んでいる。
 笑える不釣り合いはそんな程度ではないか。

 スワロフスキーの方もちゃくちゃくと準備が進行しているから、俺の素晴らしい「ヤン歩計」を皆さんにお見せ出来る日も近いと思う。

 残年ながら、今日はクチロロの新曲の歌詞作りと、ポメラニアンズの歌詞修正を家でやっていたので(途中、一度とんかつを食いに出たが)、4880歩しかかせげていない。
 とんかつ屋の帰りに、かわいい捨て猫たちがいると近所で評判の空き地を通り、実際4匹のキジトラ(胸が白い、いわゆるエプロン型)の子供たちを見つけたので、後でもう一度そいつらの元気な姿を堪能しに行き、同時に歩数を稼ごうと思う。


 東国原。なんでも軍があれば解決すると思う傾向はまことに幼稚。
 それこそが平和ボケだろう。